土曜日の午後 Vol.2 Adamlar(大人編)下


こちらは土曜日の午後 Vol.2 Adamlar(大人編)・・・。上からの続きです。



バイクで買い物に行った男の子が、帰ってきた。


立派なスズキ4匹とトマト、玉ねぎ、レモン、パンを抱えて。


その辺にある木切れを使ってて早く火を起こし、


これまたその辺に転がってる板に魚を乗せて切り目を入れる。



油ある・・・?


ああ、イスマイルのがあるよ



大きな鉄のフライパンを取り出し、勢いよく燃えている火にかけ、


ペットボトルに入った油を入れて、魚を焼き始める。



ものすごい勢いで燃えているのに、躊躇なくフライパンを載せる。





魚を入れた後はほったらかしなので、ひっくり返そうか・・・?というと、


いやいや、まだだよ。自然にひっくり返るくらいになったらひっくり返すんだよ・・・


と言って、のんびりとタバコを吸っている。




火加減なんてものは関係ない。





ナイフを使ってひっくり返し、後は火が通るのを待つ。



その間にトマトと玉ねぎをビニール袋の上で切る。



お皿がないし、熱々のをレジ袋に乗せたら、袋溶けちゃうよね〜


と思っていたら、大きなフランスパンを二つに割って、


その上に魚を乗せてくれた。





塩はないの・・・?



あれ?塩あったっけ?


ないよ




塩がなければこうするさ・・・



そういってレモンを二つに切って、絞りかけてくれる。



熱いうちに食べな。







お皿もなければ、ナイフもフォークもなく、手を使って食べ始める。




その美味しいこと・・・!



地中海で一番の魚を食べてるんだよ




こっちでもスズキは高級魚らしい。



本当に新鮮なスズキを手づかみで、合間にトマトと生の玉ねぎを食べながら平らげる。



幸せって、こんなことだよなあ・・・と思う。



人間はシンプルな生き物のはず。



夢中で食べて、すっかりお腹もいっぱいなった。



海では、戻ってきた漁師たちが、大きな網を持って漁をしている。





俺らの写真は取っちゃダメだよ。


この時だけの友達さ。




そういう男の子にお礼を言って、家路に着こうとすると、鴨夫婦が目の前を歩いていた。








うちの近くに来ると、桑の実を取りに屋根に上がっている少年たちがいて、私たちにも採ってくれる。








静かな土曜日の夕暮れだった。




後になって、この若い男の子のことを思い出して口にしたら、ずっと少年の保護活動をしてきた彼が言った。



ああいう若い子たちは、紙一重のところにいるんだよ。



お茶を入れ、魚を買いに行ってサーブしてくれただろう?


やってあげることに喜びを見出している。


それを拒否したとき、一線を超えちゃうような神経をかかえてる。





トルコという国は実に多様な人々が住むところで、頭脳的にもとても優れている人が多い。


そして人に対しても親切な国民性を持つ。



一方で家庭環境や教育環境といった、生活していく上での環境によって、性格が形成されていく。


だからものすごい才能がある人が、ゴロゴロしていても、それを生かせる場がない。




特に昨今のグローバリズム、スマホの台頭により、急速に古き良き文化が失われ、人々がより簡単な方向へ、そして時にものすごくアグレッシブな方向へと流れていく、そんな流れがどんどん加速している。



そんな社会の中で、人間らしさを生きる人たち。



その一部を垣間見た午後だった。









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火を起こす#野外調理






Life is a Journey  人生は旅

17年のブランクを経て 再度トルコに住み始めた私の徒然・・・

SHOKO

学生時代に自転車で日本各地を旅し、世界一周バックパッカー旅。

その経験から、卒業後はNGOに勤務していました。その時のキリム(トルコやその周辺諸国で織られている平織の織物)との出逢い
により、仕事を辞めイスタンブールに住むことに。

アンティークキリム、絨毯の最先端を行く、当時のイスタンブールを拠点に、ヨーロッパやアメリカで行われていたアンティークテキスタイルのコンフェレンス等にも行ったりしていました。

そして、隣国アルメニアへ行く途中通りがかったグルジアに住むことに。

当時のグルジアに住んでいた日

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